NFT, Silicon Valley, Technology

NFTを自分で作ってみて学んだこと – 44歳非エンジニアの手習い

先日、ウクライナ支援用で、日本の招き猫をテーマにしたジェネラティブアートNFTをOpenSeaでリリースしました。

[Donation] Welcoming Cats Save Ukraine Stop the War and Putin!!

https://opensea.io/collection/welcoming-cats-save-ukraine/

仕事はテック系VCですが、非エンジニアかつ文系なので体調がおかしくなるほど大変でしたが、、仕事のかたわら1ヶ月で作ることが出来ました。

技術的に内容が完全に正しいかどうか微妙なところはあると思いますが、これからジェネラティブアートNFTを作りたい方などのために学んだことを下記します。プロセスの最初から終わりに向けて並べています。最後に所見なども。


イラスト

若い時にIllustratorとPhotoshopをかなり触っていましたが、また学習し直す時間がないのと、そもそもかわいいイラストが書けないので、気に入った招き猫のイラストのHPを探し、直接交渉しました。
このイラストレーターさんが非常にいい方だったのが、まずラッキーでした。

支払い=PayPal

私は今アメリカに住んでいますので、日本にいるイラストレーターさんへの支払いは、頭痛の種の予感がしていました。(一つには、海外在住社に対しての邦銀のネットバンキングが非常にクソいというのがあります) 但し、今回PayPalでいいですよと言ってくれて非常に助かった!
細かい話ですが、普段使っているアメリカのPayPalアカウントだと毎回為替手数料が結構ボラれるので、面倒でも日本のPayPalアカウントから払うことを覚えました。とにかくアカウント名ベースでものの1分で支払いが出来ますので、フィンテックの雄、本当に助かりました。

ジェネラティブイラスト

もともとは100個くらいのイラストを書いてもらおうと思っていたのですが、ジェネラティブの方が全然いいじゃんか、というのは後から気付いたのは計画性のなさ・アホの極みだと思い、しばらく落ち込みました。。
そこから追加費用を払い、当初の10イラストを部品化し(=追加費用)、さらに10イラスト分を追加し、計算上10億個くらいのジェネラティブアートが作れるように準備をしました。
ただ、イラストレーターさんとちょっとしたミスコミュニケーションや誤解があり、アクセサリと手が重なってしまう、などの事態が何回か起こったのでその都度協議して、追加費用も払ったりしながら修正していきました。
個人的にここら辺は過去の仕事で感情的になってこじらせることが何回もあって、ただもうかなりの中年になってきたので、建設的な会話が出来たのはとてもよかったですし、そもそもイラストレーターさんが非常にいい人だったというのもありました。

ジェネラティブイラスト生成

このGithubからソースコードを入手して、YouTubeビデオを見ながらVS Codeで必要な修正をして、バッチを回します。何回か上手く行かなくてまた精神的に落ちたりしたのですが、上手くいったときはそれはうれしかったですね〜
非エンジニアによる、ソースコード作業の最大の弱点は、「エラーメッセージが出ると心の底から怖くなる」ということかなと個人的に思っています。震える… まあ、今回何回もエラーが出たのでいい加減慣れてはきましたが、やはり「それが何を意味しているのか」を読み解けない、チュートリアル以外のことは出来ない、というところからこの恐怖感が来ています。

ソースコードの生成(メタデータ生成、IPFSへのデータアップロード、ミンティング)

これも上記の通りGithubからソースコードを入手して、上記のYouTubeビデオを見ながらやったのですが、ここで大きな大きな落とし穴があり、私を軽いうつ病へと陥れた罠が!
ビデオの中では「このビデオの通りに作業すべく、このビデオで指定したバージョンのコードを使ってね♪」とあるのですが、結局結構な数のバグがあったり関連するモジュールの変更があったりして、最新のソースコードを使ってやるべきだったのです。そうするとビデオの内容と差が出てきて、何とかやりきるしかないですがクリティカルなバグを包含したバージョンでは前に進まないので、やはり最新のバージョンを最初から使うべきでした。

その意味において、最近新しいチュートリアルビデオ Version2がリリースされたので、こちらを絶対に見るようにした方がいいでしょう。

とはいえ、NFTのメタデータとはどんなものか?そしてそれがOpenSeaなどでどう反映されてどのように見えるのか?というのが分かったのは大きな収穫でした。なるほどね〜〜と。

また、web3ではなくてはならない「IPFSについても、メタデータと自分の子どものような作れた画像をアップロードすることでURL形式だとかそもそもの仕組みだとかもよく分かりました。

さらに、そういう作業を通じて、NFTにおける「オン・チェーン」「オフ・チェーン」って何なのか??と調べた時に、書いてある説明文が自分の中で咀嚼できるかどうかというのは、こういう作業なりを通じてベースの部分が心底理解できるかによる、と思っています。ぐらぐらな土台にグチャッとしたものを乗っけて、さらにその上に・・・とやっていくと何が何だか分からなくなってしまいますが、土台(=この場合データレイヤー)をしっかり理解できたことで、まだ何とかその上位の概念が理解しやすいというのが、テクノロジー全般に言えることですがとっても大切なことかなぁと44歳のおっさんになってもいつも思うことです。

Rinkeby Test ネットワーク

何か、Rinkeby TestネットワークってTwitter経由申請とかってめんどくさくない?そもそもそれ使うことで更に面倒が増えるだけじゃない??とかって思ってたけど、そんなことは全然なかったw
単に思い込み、ということがどれだけ多いことか!

スマートコントラクトにおけるAPIサービス

これはまだ十分に理解できているわけではないんですが、、自分で一からスマートコントラクトを作って、ウォレットアドレス、トランザクションハッシュ、IPFSのURIなどを全部紐つけながらまとめていくのは自分には超難しい〜不可能なレベル。

それを一纏めにやってくれるのが、APIサービスとしての NFTPort。これがなかりせば、今回完成にはたどり着けなかった。

他にも色々サービスがあるんだと思うけど、もっと使いやすいのが出てくるだろうし、ここら辺のユースケース、使い勝手、料金(月額99ドル払っています)などで思考を繰り返していき、ディスラプションや最適解を考えていくことで、自分のVC業における投資チャンスなんかもあるんじゃないかと感じた。(これ、仕事観点ではとっても重要です)

ミンティング

個人的に、いくつかNFTは手動でミンティングしていますが、プログラムでバッチミンティングしたのは初めて。上記の理由とその他色々な理由で途中でエラーが出まくりましたが、何とかバッチが回り、
#1 minted!
#2 minted!
とメッセージが出たときはちょっと感動しましたw
今回のNFTはPolygonで作っているため、ガス代がかからないのもポイントです。(NFTPort自体がEthereumをサポートしていないというのもある。なぜなのか!?)

OpenSeaへのリスティング

ジェネラティブなNFTを作った後に、「バッチでOpenSeaにリスティングする」方法がいま無いのです。。これは間違いなく今後対応されると思いますが、方法は2つです。
1.マニュアルで全部対応する
2.マクロツールを使って自動で画面操作をする
上記は方法論ですが、今回の目的はウクライナ支援に定めたので、多く払える人・少なく払いたい人両方から寄付を受けたいと思い、1ETH/0.1ETH/0.01ETHの3種類の価格設定にしました。
そうなると今回の100体くらいだと2はそれほど効率的でもないので、またトラブルでお腹を痛くするくらいなら…と1のマニュアルで対応しました。かなり神経を使いますが、1時間半くらいで完了したと思います。

2については同じくcodeSTACKrからのチュートリアルビデオがありますので、参考にして下さい。

その中で使っているマクロツールはMini Mouse Macroというもので、勉強のために自分でも動作させてみましたが、上手くいったり上手くいかなかったり(主にページ読み込みなどの時間との関係で、各種マクロ動作が間に合わないとマクロが正常動作しない)で、この分野はしっかりとした専用ツールのニーズあるんじゃないかなあと思います。

また、メタデータで個々のNFTに付随する説明書きと、コレクションのページ全体に書かれる説明書きは別で、後者は https://opensea.io/collection/(コレクション名)/edit のURL下で編集することになります。

メタデータのフリーズ

メタデータのフリーズ(以降、まったく編集不可に固定すること)については、NFTPortを利用する場合は設定画面上明示的に設定する、とチュートリアルにはありましたが、その作業を行った記憶はないのに、メタデータはある時点でフリーズされているようでした。
この点は謎が残っています・・・

レア度が未設定!

これは、NFTとして致命的なミスですが、知り合いのNFT・メタバーススタートアップのCEOの方からご指摘頂き判明しました。(ありがとうございました!)
チュートリアルビデオに、そのステップがなかったので…という言い訳になってしまいますが、この点は絶対に次回以降改善しなくてはいけません。

ウェブサイト

http://welcoming-cats.xyz/

3年ぶりくらいにウェブサイト作るもんだから、AWS Lightsail+Wordpressで作れる、ってことをすっかり忘れていて、何をとち狂ったか、AWS EC2 で最初作ってみたけど、作るのは大変だし、相当ランニングコストが高い…と思いながら作っていて、Lightsailを思い出した時点からまた軽い鬱っぽくなってしまった…
個人的に、Wordpressというのはどうしてここまで流行ったのかまったく謎で、バグだとか使い勝手だとか沢山あり、どうにかならんかとは思っているものの、新しいプラットフォームを使う気にもならず、WPにした。(ちなみにこのブログもWP)
で、買ってきたテーマがレイアウトはまぁまぁなものの、buggyで、今もバグが残っていて、本当に腹立たしいのだが、もう、ちょっと放っておいている・・・

SNSアカウント

https://twitter.com/welcomecatnft
https://www.instagram.com/welcoming_cats_nft
https://discord.gg/Qb4XGYb8tg
https://vm.tiktok.com/TTPdSBDk9K/

アカウントを作るのは大変ではないですが、個々のアカウントにそれなりに説明書きや写真をアップロードしていくのはそこそこ手間ではあります。

ただ、TikTokはおじさんとしてあまり使わないものの、今回こんなビデオが簡単に出来ちゃうというのは、「ビデオエディターとしてのTikTok」に感心しました。音楽はたまたま我々が投資している88risingレーベルのRich Brian “History” で、めちゃめちゃクールに仕上がりました!

@welcoming_cats_nft

– Welcome Cats beckon luck and crypto to you! -Japanese traditional Maneki Neko will bring you fortune in web3 era #NFT

♬ History – 88rising, Rich Brian

とはいえ、ここらあたりで息切れしてきて、各SNSアカウントにコンテンツを追加していく作業に手が回らなかったのが、大きな後悔です・・

デジタルマーケティング

今回ペイドメディアを使う原資が無かったのと、試行的にもやる余力が無かったのと、SNSマーケティングは上記したような体たらくだったので、ここが結果的に一番弱かった。

地道にメディアにアプローチするなりして、下記のように取り上げてもらう、というのもすごく大切だと理解しているんだけど、どうしても時間的な余力がなかった。

これは「作って満足して、売るところまでたどり着かない」本末転倒な一番悪い例であり、次回以降大きく改善したいところ。

色々なNFTのドロップをNFT Eveningなどで毎日見ていると、どうしたって「NFTをドロップ、ミンティングする前のマーケティング、アナウンスメント、ストーリーの伝達」がクソ重要だということは、よーーーーく分かってきたので、これも大きな反省点であります。

この分野はトラディショナルな知識(SEOなど)と直近のSNSマーケティング等のトレンドと両方持ってないといけないし、私も若くないし、それなりに力技でもあると思うので、次のプロジェクト(=元々の招き猫イラストNFT)で一緒にやりたいという方いれば、上記のSNS経由などでぜひご連絡下さい!


所見・総論

  • 元々は「ちょっと小銭が稼げたらいいな」と思って始めたのですが、途中でウクライナで戦争が起こり、売上全額寄付型としました。
  • 売出し直後に販売できた0.3ETH分は、Ethereumでウクライナ政府に寄付出来たのでよかった。寄付者の方に心よりお礼申し上げます。

Donated NFT sales to Ukraine – you can help too from TODAY!

http://mosh-in-silicon-valley.tech/donated-nft-sales-to-ukraine/

  • それと、そもそもは「web3でのビジネスを考えるにあたって、土台の部分から理解したい」というのがあった。
  • 現時点でもNFTをはじめ、ゲームを中心に、メタバース、インフラ、ドメイン、DeFi、DAOなど色々な分野でビジネスが勃興しているが、技術的には絶対にデータレイヤーであるブロックチェーン〜スマートコントラクト〜IPFSくらいまでを知っていないと、上位レイヤーのことが本質的には決して理解できない。
  • 業務上、ベンチャーキャピタリストとしてはそれ以外の観点で、たとえば極端な話「Andreessen Horowitz が投資しているからコバンザメ的に出資すればハズレがないね♪」というようなアプローチも取れなくはない。
  • ただし、結局商社系のCVCとして「価値を生むビジネスを作りながら、フィナンシャルなリターンもエンジョイする」となると前段の部分においては、本質を見極める力は必要不可欠なので、今回NFTの作成を通じて、広く浅くだけどよく仕組みが1ヶ月そこらで理解できたのは本当に良かった。
  • また、とどのつまりは「人生のうちに、何を成し遂げたいか」という問いに戻ってくるのだけど、自分の場合は「いくつになっても勉強を続けながら、それを元に価値を生みたい」んですよね。勉強しながら机につっぷして死ぬ、みたいな人生がいいかなとw
  • ただ、(デジタル)マーケティングの部分で力不足でNFTが売れてないんじゃ、価値を生み出したことにはならないので、次のプロジェクト、「Welcoming Cats NFT」にて捲土重来、元気にマーケティングしていきたいと思いますし、プロジェクトとして一緒にやりたい方がいればレベシェアみたいな形でやれればと思います、ぜひご連絡下さい!(一人でやるのはさみしい・・)
  • ジェネラティブアートをAIで自動生成し、それを一気通貫でミンティング→マケプレへのリスティングまでするソリューションスタートアップのCEOと話した時には「アメリカでは各人の役割分担が明確なので、エンジニア、イラストレーター、マーケティング、企画、プロマネなど別々で何人もがかりでやることが普通」とのこと。アメリカならさもありなんとは思います。今回は一人でよくここまでやったな、と。
    次はみんなでわいわいやりたいです!
NFT

友人であり、猫アプリのビジネスパートナーがウクライナ人で、現在チェルカースィに避難しています。

戦火に見舞われているウクライナ第二の都市ハルコフからも近く、本当に心配ですし、ウクライナの方々全体が不憫で仕方ありません。

わずかながらですが、出来ることとして、仮想通貨 Ethereumを寄付しました。

直接、即入金できるというのは、ACH (Automated Clearing House=銀行送金)のように時間がかからなくていいですし、海外送金時の膨大な手数料を払わなくていいという面において仮想通貨のメリットと思います。

ツイッターでウクライナ政府のアカウントを確認。(相当数のlikeとリツイートがされていることに注目。詐欺回避の観点でも重要)

ただ、最近NFT含め、この手の話は詐欺もとても多いので、よくよく調査することは大事です。

上記のEthereumのアドレスについて「Ethascan」というサイトのツールを使って、妥当性を確認してみます。

https://etherscan.io/address/0x165CD37b4C644C2921454429E7F9358d18A45e14

フィルターをすると、37,239回の送金トランザクションがUkraine Crypto Donationアカウントになされていますし、5ETHなどの大金も送られていますので、間違いなさそうです。

次にMETAMASKなどのウォレットを開く。

Sendボタンを押下。

ちなみに、最近イーサリアムのガス代は下がってきてはいるものの、まだまだ高いので、下記サイトを事前に見ることをおススメします。

(時間表記については、利用者のタイムゾーンに合わせて表示しているとのこと、便利)

上記アドレスを入力し、金額を入力します。
今回は非常にささやかですが、0.05ETHを送金します。

最近、かなりEthereumのガス代下がったな、という印象です。
その理由まで言及されていませんが、現状についての記事はこちら。

ガス代はわずか$4.1。

数十秒待ったらトランザクションは完了していました。

この記事などによりますと、ウクライナ政府が11 am ET on Thursday, March 3までに寄付した人にはエアードロップをしてくれる、ということです。

エアドロの詳細は不明ですが、楽しみに待ちたいと思います。

全世界に平和が訪れますように。

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