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起業のエクイティ・ファイナンス → 翻訳家デビュー?の話

文字通り1日がかりで読み終えました。400ページちょっとあったので…

内容として、最後の最後にあった記述が心に響いた。(実務本でありながら、啓蒙本の要素も少しある)

起業とは「政府や社会など、他人に命令されたことを実行する」といったことの対極にある、「自分で自由に考え、どんな環境であっても、それに合わせてチャンスを見つける」ということです。「人から命令されたことをやる」から「いかに自分で考えたことを実現するか」へと意識を切り替える「心の革命」であり、血が流れない「経済の革命である」と言えます。

そうでなくちゃいけないと思うし、起業がそうであるならば、ベンチャーキャピタルもそうでなきゃいけないと強く感じます。

さて、実務本の観点としては、著者の磯崎哲也氏の前著の「起業のファイナンス」〜ベンチャーにとって一番大切なこと、含めてですが、ベンチャーキャピタルの実務、例えば王道中の王道の「投資契約」を取ってもビシッと来ない感があります。これはタイトルのとおり、起業家をターゲットにしているからもちろんしょうがないのですが、この本2冊が業界内で「ベンチャー投資実務のバイブル」とされている中、ベンチャーキャピタルの投資実務の教科書的なものは無いのかというのは、ここ数ヶ月探しておりました。

Amazonがあるこの世の中で、それは割とすぐ見つかりまして、英語ですが、非常に著名で、そしてあくせく、せかせかして、世知辛いシリコンバレーじゃないところにオフィスを構える、レジェンダリーなベンチャーキャピタリストが書いており、アメリカではバイブル的に扱われているとのこと。

実際Amazon Audibleで何度か聴いてみましたが、細かい話をしはじめたり、関連する話をしたらキリが無くなるこの分野で、投資実務の中でも重要な部分にフォーカスを当てて、その上で必要な部分はじっくり説明していて、さらに長年経験のある氏ならでは、業界の歴史を織り交ぜつつ、最新の投資家・起業家と契約の動向・傾向なども入っていて、素晴らしい内容となっていました。

それを翻訳して、日本に持っていけないか、と氏に働きかけてみました。
先日会食した人が、本当に偶然、氏を知り合いで、紹介してくれました。こっちでは紹介はめずらしいことじゃないけど、地理的にシリコンバレーでもカリフォルニアでもないので、来て3週間で、超偶然のコネクションだった、と言うことができるでしょう。
そう「自分で自由に考え、どんな環境であっても、それに合わせてチャンスを見つけ」ないといけないし、アメリカで駐在していて、ちんたらやっているとすぐ時が経ち、帰任になり、帰る頃にはおじさんになっているので(まあいまもそうですが)、思い立ったらすぐ行動しなくちゃいけない。そりゃ、業界で言えば、小学校に入学してミニバス始めた子が、WarriorsのStephen Curryに1 on 1を申し込むみたいなものなんだけど「いかに自分で考えたことを実現するか」だし、こっちでは失うものないし。

これもやっぱり、日本側に話したらバカにされた。「そんなの乗ってくるわきゃないだろう」みたいに。
だけど、話してみたら「やろうよ、やろうよ。ちょうど改版作業していたところだから、それに合わせてさ!」てな感じです。なんとなんと!

ただ、(予想はしていたのですが)著者の意向に反し、出版社の動きが鈍く(まぁそりゃ日本で「ベンチャーキャピタルの入門書」がどれだけ売れるかは微妙かもしれませんな)話は少しスローダウンしてしまっているのですが、著者からは「まぁそれはそれとして、いつでも会おうよ」と言われて、一つ大きな前進となりました。

 

40年もやってきてようやく少しずつ分かってきたのは、人生イチゼロじゃないし、点と点は事前には結べないということ。一つにはじっくり本を読む、勉強する、そして自分なりに考える、というような地味で時間がかかるアクティビティーは必ず人生と職業人として必要だし(今日はゴミ出し以外では家を出れなかった)、一方でバカにされたり、自分でも顔から火が出るような臭いことを言いながら要人に突撃したりする飛び技は、何かを成し遂げようとしたらこれも必ず必要だし、忍耐と瞬発力と、内向性と外向性と、矛盾したものを受け止めて咀嚼しながら、昇華していくところに、商社マンのバリューがあると思う。

ファイナンス的な仕事が商社全体で増えてきて、賢く、保守的な者ほどうまくやれるような仕組みになってきているけど、片田舎から出てきて、どうしたってそうは出来ない自分は、恥を恐れず、努力を惜しまず馬鹿にせず、そして母の恩も忘れずに、少しずつ少しずつやっていこうと思う。それだけ。

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