Japan

「このままでは国家財政は破綻する」矢野康治財務事務次官が“バラマキ政策”を徹底批判、を擁護したい

https://bunshun.jp/articles/-/49082

これは役所の犬だとか、自省の利益代表野郎だとか、バランスシート読めないアホだとか、衆議院選挙前の政権つぶしだとか、色々な逆批判あると思いますし、物事にはそもそも合理的な範囲で様々な批評があっていいと考えます。

だからこそ、私は矢野財務事務次官は極めて正しいことを言ったと声高に主張したいし、この内閣組成直後、衆議院選挙前のタッチーなタイミングで、逆にマスコミなどに取り上げられて政権側からの批判覚悟、最悪クビ覚悟でこれを言ったことに心より敬意を評したい。矢野さん、ありがとう。あなたは、本物の大和魂を持っている。

私は、米国会計士で統計士であり、数字を分析する限りにおいて、全面的に矢野次官のコメントを支援する。


この財政再建議論は実に複雑で難しい。マクロ経済学も当然関係してくるし、金融工学、為替も考慮に入れる必要がある。また単にお金の不足、赤字、借金、負債みたいな話に集約させようと思っても、国の一般会計のみならず、複雑怪奇な特別会計もあれば、国の中には中央銀行=日銀もあり、市中銀行があり、郵便局あり、そして国民がいて、その周りには他国がいてそれらが国債を買っていてる。

一連の資金のやり取り、年度における収入と支出の入り繰りが、BSとPLとして政府と日銀と国民と顔を変えながら、それでも国としては一つのものとして連動するので、頭がごちゃごちゃになりやすいし、話をぐちゃぐちゃにしやすい。

また、論点として矢野事務次官も氷山とタイタニック号の衝突(と暗示的に沈没)で比喩として挙げているとおり、 国家財政として破綻するかどうかの話になると、もうそれはひっちゃかめっちゃかな議論になりますねw

なので、矢野さんの論調には全面的に賛成なのですが、一点だけ言い方を変えたらいいのかなと思うのは「氷山に船がぶつかって沈むぞ」ではなくて「このままだとジリ貧、どんどん貧乏になるぞ」とか「このままだとナチュラルに国全体で二宮金次郎やることになっちゃうぞ」とかそこまでのプロセスを強調したらどうかなと。

これは悲しい目的地の話をするのか、そこまでの辛い道程の話をするのかの違いだけなので、同じことを言っているわけです。

というのも国が沈む論は、借金増大➜国としての信用喪失➜金利上昇➜悪いインフレ➜財政破綻 のシナリオですが、このロジックの途中で信用喪失するか、金利上昇するかは他国との相対的な関係もあり、パンデミックがまだまだ収まらないグローバルマーケットにおいて、経済の復興が各国ままならない中で、アメリカもトランプも民主党もどんどん財政出動して財政が悪化している中で、ムービングパーツが多くてなかなか論じきれないと思うのです。

イメージとして、ネットのコメント欄で「アメリカを見てご覧なさいよ」とか「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証率見てみなさいよ、他国に比べてそんなに高くないでしょ」とか「同じくこの数値で、誰が破綻するって思ってんのよ」とか「他国に比べてこんなにモノが安いのにどの口がインフレ語ってんのよ」とかってコメント殺到するイメージ。(実際、ヤフコメなんかはそうなってるw)


ただ、ヤフコメに文句を言うことを目的にするでなく、当面の事象や個別の材料だけ取ってきて議論するではなく、こ難しい経済理論でごまかすのではなく(経済理論というのはそれが必ず正しければ、世界金融恐慌など起きないので、そもそも風が吹けば桶屋的なものだ)、本当に日本を良くしたい、もしくは、悪くしたくない、と思ったら、どう考えたらいいのか?という観点で基本に戻って考えたらどうなるのか?

この点については、本を以前に書きました。「君たちが大人になったら、残念です」

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著書に書いたことの繰り返しにはなりますが、アメリカにもうかれこれ合計5年もいることも踏まえて、その観点も含めて下記します。


私が主張したいのは「日本が国として財政破綻するかどうか分からないけど(そんなこと誰が正確に予測できる?その点でみにくく争うのやめなさいw)、今もある意味そうだし、今後は、子どもや孫の世代にもっともっと貧しくなっちゃうでしょ」ということです。

これはみんな合意すると思うけど、日本は高齢者に金がかかる。社会保障で一般会計の約1/3。

そして過去の借金返済に約1/4! 

それらと税収がほぼ同額。

だけど、地方に渡す金、国防、教育などはまかなえない(!!)ので借金を続けている。

私は商社マンで、どっちかというとP/L、損益計算書志向なのかもしれませんが、ただ、ビジネスマンとして実務的なのでざっくりと上記のような感覚を持っています。

要するに、必要な金を稼げていない中、借金で回していたら、そりゃしっぺ返しは来るわねと。単純な話でしょう。

その考えにおいて、紙幣を刷り続ければOK!論者も私は理解できません。(下記にその理由の説明あり)

上記した通り、当面は国の中で回せる仕組みなんだけど、全部国の中で回しているわけじゃない(一部は海外依存)し、「国」って言ったって公のものとわたくしのものとあるので、完全にキレイに齟齬なく回せるハズがない。たとえば、借金の金利(=利払い)なんかは全部国民(=国民が国債の全部を持っている)とか全部日銀が持っている(=同左)なら「同じコップの中の話なのでOK派」の言うとおりになるけど、実際は国債の保有者の内訳見れば分かる通りそうなってないでしょ。

同じく「財政破綻しない派」は借金は国債でやっていて国の中でぐるぐる回っている金だから大丈夫!と言うんだけど、たとえば外国人が1割前後いるので、外人にはもちろん返さないといけないし、日銀以外の民間金融機関、郵便局や個人の保有者にも返さないとか利子を払わないという選択肢はない。そうなったらそれこそデフォルト状態だっていうの。

また、民間企業人として反省もあるのは、民間企業部門は世界の中で見るても、利益率が低く、生産性も上がっていないということ。だから上記したけど、「稼げてない」状況でもあるんですね。ググったら分かるけど、GDPも過去20年以上ほぼ横ばい。アメリカと中国のそれを見たら気持ちがいいほど、笑っちゃうほどです。アメリカにいて働いていると、働き方として、「これは中にいたら厳しいだろうが、これなら会社としては伸びるよね」という働き方していますよ。肌感として。

ということで、現状を続けていくと、ある意味今ももうそうなんだけど、これからどんどん国として国民として貧しくなっていっちゃうでしょう。

その最たるものが教育!!!!

教育に金がかけられないので、学校にコンピューターがない、Wi-Fiがない、世界大学ランキングTOP50で下の方に東大にいて、京大はそこに入りもしないみたいなことになるわけでしょう。

私は、これが、国にとって一番まずいと言っています。

Stanford大学、INSEAD大学、Illinoi大学、中央大学で勉強してきて、米国公認会計士、統計士、Project Management Professional、SAPコンサルタント、TOEFL/TOEIC、カラーコーディネーター、中国語、韓国語などもやってきて、うちの娘は今小6で英検1級受けていますが、教育と勉強にまさるものはないのです。

こんなことは福沢諭吉の時代から言われてきているわけで19世紀から、もしくはもっともっと前からまったく変わってないわけです。

これに、消費税などの増税が重なり(=これも、私が「貧しくなる」と言っている文脈の一つです)、さらに可処分所得が漸減していくことも大いにあり得うる中で、「失われた40年」とか「失われた半世紀」という未来が煌々と見えてしまうのは私だけでしょうか。

そうすると著書に書いた通り、海外で勉強しよう、国外で働ける「オプション」を手に入れるために、という思考回路になってきますが、円安だとこれも相当にきつい。
たとえば、私が初めてアメリカに留学した時には1ドル=150円近かったですが、本当に資金繰りは苦しかった。私らの子どもの世代にそういう目には決してあってほしくない。(ちなみに、私の娘はアメリカでの学校生活を経て、「中学と高校は別として、大学は絶対にアメリカがいいね」と言っています。教育の質がアメリカは違います。)

国防については、私の中では優先順位は高くないんだけど、国の基礎であることは変わらず。高市早苗氏は矢野次官批判しているようだけど、高市さんが大切にしている国防はどっから原資を出すのよ?

また、矢野次官について財務諸表が読めない、右と左が分からないとか言うのやめれw ちょっと調べれば分かるけど、一橋の経済学部出て、大蔵省、ハーバード大客員研究員で簿記をやっていないはずがないだろうと。たいしゃくたいしょうひょうに右と左があるのは簿記三級で習うんだから早い段階で学んでいるハズで、彼が反論できないのをいいことに、好き勝手言うのやめい。そういうのを卑怯と言う。

岸田内閣発足した時に、財政緩和するよ、バラまくよと言ったけどその通りになりつつある。河野さんだったらどうだったか? 自民党なら誰でも同じなのか? 多分そうだと思う。

立憲もバラマキ政策をうたっているので同じようなものなのかも知れない。

繰り返しだけど、バラマキ政策⇔得票のロジックで与党が作られ続け、さらにそれが比較的短期政権で繰り返し交代していくようだと、本当にこの国の先は暗い。(それは、すぐに破綻するという意味で言っているわけではないです、あしからず)

増税を避けないで議論して「財政を徐々にでもいいから健全化の方向に進めていきます、みんな苦しいけど頑張って来る数年やっていきましょう」と胸張って言える政治家が出てこないと、子どもの世代が不幸になる。

この点は、結局投票して政治家と第一党を選んでいるわけで我々国民も意識を変えなければいけない。

「失われた30年」を経て、今でさえ貧しいでしょう?という人は見立てとして正しいと思う。これもググったらすぐ出てきますが、涙でディスプレイが見れなくなるものの、20年超を通じて労働者平均所得は『減少』しています。

そういう意味において、私は日本については軽く絶望している。

アメリカも色々な問題がある。たとえばこの思いっきり民主党寄りの州であるカリフォルニアにおいて、選挙日前日に主要道路を何マイルにも渡りトランプ支持者の車で埋め尽くされたこと、何度言ってもワクチン接種が進まないこと、全然銃の保有が減らないこと&銃撃がまだ起こること、大学教育が異様に高いこと、格差が大きいこと、アジアンヘイトもまだだあることなどなど。ただ、この国は二大政党制だということもあり、移民も多く、何より大学教育が充実していることから、変化が「起きやすい」(必ず起こるというわけでもない)という構造にある。

日本は、それが望めるのか。

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