藤井五冠はタイトルを欲しいままに獲得しているものの、今回A級昇級しないと谷川十七世名人の21歳史上最年少名人記録(その時の名人はひふみん!)は抜けないので、勝手に前日からドキドキドキドキしていました…
当日は名人戦順位戦 B級2組、アメリカ西海岸時間16:30から始まりましたが、もう仕事が手につきません… 打ち合わせが2件夕方・夜にありましたが、正直AbemaTVをスマホでチラチラ見ていました!
胸騒ぎを抑えるため、ほとんど「性癖」に近くなっている確率計算をしてみました。
昇級条件としては「藤井五冠が負け+稲葉八段勝ち+千田七段勝ち」以外、なので対局者同士のイロレーティングを考慮するとそれぞれ、
12.3%×56.8%×53.4%であり=3.7% となります。
これは「25回に1回」くらいしか起こらない確率ですが、人間心理は不思議なもので、それでもドキドキしてしまう。統計とは関係のないところに人間の感情がある、ということか。
Abemaで深夜まで見ていましたが、途中評価値ベース35%対65%までいって、解説の先生も「藤井五冠ピンチ!」と言われ、素人目にも相当厳しかったので、もう気が気じゃない!!
とはいえ流石に西海岸時間早朝までかかるので、途中で寝落ちしましたが、、何と夢に順位戦のことが2回くらい出てきました!
それで、朝Yahoo!でおそるおそる結果を見てみると見事昇格!おめでとうございます!!
ただ、その裏の対戦では稲葉八段勝ち+千田七段勝ちだったので藤井五冠は負けるとA級昇格なし=B級残留となっていた訳で、本当に勝って良かった!!
以上、前置きが長くなりましたが、以下が素人・観る将の感想です。
(▲先手=佐々木七段、△後手=藤井五冠)
1.序盤
▲3五歩 →同歩→▲桂跳ね→△2二銀→▲端攻め→△4四歩で桂取り
の流れのところで、佐々木七段の研究が炸裂!という評価だったのですが、△4四歩の部分もちょっと藤井五冠の研究には入っていて、ただあまり前例がないものの「探究心でその手筋に突っ込んでいった」んじゃないかと思いました。
史上最年少で名人になることよりも、究極の強さを目指す研究心が勝ったということなんじゃないかなあと。
2.勝負の分かれ目
その後、先手は1筋に馬が出来て、評価値も先手に振れ、後手ピンチ!と評されていた盤面でさらに先手に▲4四桂とタダで捨てて、その後飛車が2筋を上がり、端に竜を作る手が有力だったと。
また直後に後手に反撃された際に、▲7八金と受けるのが幸便であったところ、そこで▲4四桂と打った。
こう、何でもAIのサジェスチョンに基づいて what if を語るのもどうかとは思うのですが、何となくですが、藤井五冠なら▲4四桂のタダ捨てや、テンポを変えて一手待つ▲7八金(それぞれAIが示す最善手)が出てきたと思うんです。
あくまで想像ではあるんですが、AIの最善手との一致率が最も高いというのはデータで示されているし、「えぇ!ここでそれは指せないでしょ!」というのを指すのが藤井五冠だというのもあり、逆に藤井五冠相手にそれを指せないと、すぐとがめられてしまう・・・という気がします。
3.受けの強さ!
これは、全部は解説できませんが、「えー△7四王と上に上がっちゃうの!」とか、上記したピンチ状態から相当に潜在的に危ないシナリオを回避しまくりながら、地雷だらけの回廊を軽やかにダンスしながら中段で一息ついた感があり、「本当に受けも強いのね…」とプロ棋士もため息が出ちゃうような指し回しだったんじゃないでしょうか。
後手番だったですし、細かい攻めを身上とする佐々木勇気七段の速攻に対し、受けに回らなければいけなかったというのは流れ的に必然でしたが、軽やかに華麗に受け流しました。
4.終盤力
藤井五冠の終盤力と詰将棋の強さは何万遍も語られていますが、今回は80手目△6四桂は「狭いところに打ったな!」ですが、次の△桂跳ねが、どちらに先手玉を逃げても詰まされてしまうこともあり絶妙手でした。(おそらくプロなら出てくる手だとは思いますが)
A級は競合揃いで、文字通り「名人以外のトップ10」ですが、藤井五段はあいにく豊島九段、永瀬王座にもめっぽう強いことから、語弊を恐れずに言うと、22年度での名人位挑戦権獲得の可能性は高い!
ただし、飛ぶ鳥を落とす勢いの斎藤八段(棋士イロレーティング上も5位=旧四強の次)が最大のライバルか。
心より藤井さんを応援しています!!!