Media, NFT, Silicon Valley, Technology

NFTの蒐集品については、アートがベースになっているものが少なくないので、それを会場で展示します、というビジネスは有料にせよ無料にせよ、さもありなんという感じですが、有料にしてやるとなるとかなりハードルは上がりますので、実行に移した人は偉い!

ということで、申し込んで見に行ってきました。

https://feverup.com/m/108251?utm_source=secretsanfrancisco&utm_medium=post&utm_campaign=108251_sfo&utm_content=verse-nft-exhibit-open-gates

価格は、スマホでARを見るだけなら$20、Microsoft Hololenz2の装着と記念NFTまでついたものだと最高で$85という値付けです。(タイミングによってかなり上下する)

折角なので、全部込みのものにしてみました。

会場はSanfrancisco Mintで、硬貨鋳造に使われた歴史建造物なんですね。もちろんNFTの「ミンティング」に引っかけている訳で、洒落ています。

入口でARアプリのダウンロードなどがあり、結構大変です。

各部屋でARとホログラムが見れます。

さすが鋳造所、レンガ造りで雰囲気がある。

上記の写真の左側にあるようなQRコードを読み込むと、空間にARが出てきます。

ARの横にある「OpenSeaで購入」リンクをクリックすると、実際にNFTとして購入できます。3.5ETH 130万円くらい。高い!

まだ購入やオファーはされていないようです。

ここまでは「NFT購入可のアートAR展」といったところ。

個人的には、ふむふむ、というくらいな感じですね。

ただ、3Dアーティストにこのような販売の道があることはいいことです。

次に、Microsoft Hololenz2を使ったホログラム・ホログラフィーを見ます。

こちらは「おぉ!」というくらいの感じでしたが(撮影が出来ず残念です)、ちょっとHololenzの視野角が狭い、具体的には眼鏡のガラスの外側が見えてしまうので、没入感はあまりないと感じました。

また、NFTとしての金額は見れますが、購入はホログラムの中からは出来ない。

以上となります。

チケットに一緒に付いてきたNFTは「後日」メールで送るとのことで、UX的には肩透かしな感がありましたが、各地でおそらくこのVerseを展開することを考えると、販売できるような価値は付かないでしょうから、日本でいうと「ケーブルカーなどに乗る際に購入するチケットの上半分の風光明媚な写真」(取っておく人は取っておくし、大半の人はすぐ捨てちゃう)くらいの価値しかないかなとは思います。

ビジネスとしては冒頭に書いた通り$20~85を取りますが、アプリのダウンロードに時間がかかる(=オンボーディングに時間ががかる)、Hololensの台数に限りがある(見た限り15台くらいで廻していそうでした)ということから、そんなに人数はさばけないイメージなのと、当日は日中昼間だったので利用客は10人ちょっとくらいに見えました。これでこのサンフランシスコの真ん中の建物の利用料・賃料と人件費をカバーしてペイできるかは微妙なところか。

なので、NFT販売からの収益をどう上手に組み込めるか、というところですが、あまり「これを買いたい!」とは思わなかったかな。ARで見れるのは「お!」とはなったけど、結局OpenSeaでは2Dだったりもしますので。

となると、専用の展示場ではなく、レストランなどで簡便にこの手のAR・ホログラムアートとNFT販売を組み合わせることが出来るか?ということになるか。ちょっと導線が複雑になりすぎて合わないような気もします。

とはいえ、このように思考回路を巡らしていき、何か新しい価値が提供できないか、何か新しいビジネスがアメリカ、日本、その他海外で展開できないかと体験し続けながら、考え続けることが大切だと思います。

Business Idea, IoT, Media, NFT, Startup, Technology

2022 CESでSamsungがTVでのNFT販売を発表、それにLGが追従したりして、「ここで真似するか~」というような所感と、「とはいえ、TVメーカーからしたら、社内で『NFTでなんかビジネスできないのか!?』となっているだろうから、やっぱりこの分野になるよなー」というような思いが頭をよぎります。

ただ、仕事柄、大手メーカーがやっていることを眺めているだけではダメで、「スタートアップで特定TVメーカーや型番に依存しないソリューションを出しているところはないのか?!」というのが観点になります。

いいのを見つけた。

NFT500

ぱっと見、これを使うと、

  • ユーザーは上記のSamsung、LGと同じことが特定TVに依存しないで出来そう
  • Apple App Storeからダウンロード、ということは、スマホアプリであり、TVにキャストするという形式っぽい
  • アーティストは自分のアートをNFT500にNFT化してもらって、収益化が出来そうだ

長年やっていると、プロダクトについての予想が大体当たるようになりますが、ただしVCとして期待するのは「予想を上回るディスラプティブネス」であります。早速使ってみた。

やはり、アプリからTVにキャストすると。

始めるのにお金もいらないし仮想通貨も要らないと。本当か。

Just the Beggining… の部分に結構大切なvalue propが書いてある気がするけど、、大丈夫か。

そりゃそうだ

スマートコントラクトの内容は見れなかった…

では、早速NFTアートを見て、蒐集していくことにする。

500個が在庫上限のようです。415個残っているのか。

ポチ。Reservedの上の数字は何なんだ。500は明らかにサービス名から来ている。

ポチ。Reservedの上の数字はコレクションされた数のようだ。

Available数+Reserved数=500

右上のアイコンをクリックすると、今までに何個蒐集しているのかが分かる。

蒐集上限数は15のようです。

もっと蒐集。

結局、EthereumなどでNFTを購入する導線はまだなかった。

アプリの紹介文の部分のJust the Beggining… の部分に in-app NFT ownership は今後対応と書いてあったので、これからなんでしょう。(そうなると現時点ではNFTでも無いような気もするが…)

次に、TVにキャストしてみる。

大体ここで、バグがあったりしてつながらなかったりするのが世の常なので、大丈夫なのか。

右上のテレビのようなアイコンをクリックするといつも通りのキャスト先オプションが出てくる。

表示されました!

動画も表示されることを確認済み。

アプリ内では、次のNFTに送るというのも簡単に出来るし、自動で何秒・何分で次に進むのかも簡単に設定できる。


ということで、Just the Beginning… の部分に書いてあった通り、将来対応の部分はまだ出来ていないし本当に「MVP」(Minimum Viable Product) の様相だが、これでリリースするのがアメリカスタートアップの強みかなとも思います。(これで★4.7評価というのは高すぎる気もするけれど)

最後に、HPにあるロードマップの内容です。

今は、01の Growing the collectionの段階ですね。

02でAndroid対応→03でさらなるアーティストとの提携からの特別アート・NFTを追加しつつ→04でアプリ内でのNFTの購入 というロードマップになっています。


所感:

  • 本当に「MVP」(Minimum Viable Product) の様相だが、これでリリースするのがアメリカスタートアップの強みかなとも思います。(これで★4.7評価というのは高すぎる気もするけれど)
  • 日本人、日本企業もこのような考え方でどんどん新プロダクトをリリースしていってもいいと思う。反発もあろうが、海外企業・海外から来るプロダクトが製品をアジャイルに改善しながら顧客をつけていき、マーケティングも漸次増強していく、に勝ちにくいでしょう。
  • このプロダクトのコア・バリューとして、TVでのアート壁紙なのか、NFTの購入可能性なのか、ここが大きな分水嶺と思う。
    TVで4Kで見れるから買いたい!というユースケースは分かるが、無料でも蒐集してキャスト出来てしまうので、買う意味がどこにあるのか、というのは今後表示時間の制限などを設けて対応していくことになるのだと思われる。
  • TVによる消費電力を考慮し、壁紙にアートを常時表示する人がどのくらいいるのかもポイント。TVの消費電力の少なさを説明するようなプロセスが必要かもしれない。
  • ちょくちょくTV壁紙アプリを起動する人、というのはなかなか考えにくく、「常にこれを起動しておいてくれる人」をどうやって探し当てるかがマーケティングの重要ポイント。
  • もし、NFT購入の方に重きを置くなら、アートについて数量制限をして希少感を強く出していくのか、TVで本当に映えるアートについて有料でないと常時表示できないようにするのかなどの施策が必要になる。
  • とはいえ、その場合にNFTである必要はあるのかというのも大きな論点。
    普通の人はスマホにMETAMASKインストールして、ガス代払ってEthereumを買っておいたりはなかなかしないので、普通にApplePayやクレジットカードで決済できるようにする、仮想通貨を持っている人にはその決済も可能にするなど、決済方法についての明確な整理が必要。
  • 個人的な考えてとしては①基本的には壁紙アプリ ②本当に希少なアート(たとえば武田早雲の書道など)だけはNFT化→購入者の転売からの売却益確保欲をくすぐる というのが現実的な線かと思われる。
  • そうなるとNFTはごく一部だよねという整理になる。
  • だから、根本的に考えを変えて ①番組や登場人物(たとえば川口春奈だとしましょう)の魅力的な壁紙を用意する(安っぽい番宣用のポスターみたいのじゃなくて) ②番組に誘導する みたいなケーブルテレビ事業者ならではのアプリにしたらいいのでは。
  • その先にNFT販売から発生する収益の可能性があるか、ないか?というような思考回路の順番が正しいのでは。
  • 個人的には、画面いっぱいに川口春奈が微笑み続けてくれる壁紙があれば、すぐ買う。NFTとして仮想通貨で買ってもかまわないし、クレジットカードで支払っても構わない。別に転売して儲けたいとも思わないけど、その壁紙の構図に飽きたら、その後売れるかもね、というのは面白味はある。
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